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by goeurope

ポーランド・アーカイブス

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ポーランド政府観光局


世界遺産「ムジャクフ公園」−2ヵ国にまたがるヨーロッパ最大の景観式庭園

ポーランド最南西部にある世界遺産「ムジャクフ公園」。ヨーロッパで最も広い景観式庭園というだけでなく、ポーランドとドイツの友情を証明する存在でもあります。両国の国境であるヌィサ・ウジツカ川をまたいで広がる敷地は700ヘクタール以上におよび、文化的景観の保護と保存のために二つの国家が協力したものとしては、ヨーロッパで初めての例となりました。

景観式庭園とは、イギリスで提唱されたヨーロッパの作庭技法の一つで、幾何学的に整形されたフランス式庭園とは異なり、土地の本来の地形を活かし、植物や川を配置しながら設計された庭園のことを言います。

ポーランドとドイツとの自然国境線をなすヌィサ・ウジツカ川の両岸に広がるこの公園は、結果的に二つの国にまたがる形となっています。ポーランド側の敷地は522ヘクタールにおよび、ウェンクニツァ市に属しています。一方ドイツ側はバート・ムスカウに属する206ヘクタールで、こちらには宮殿などの居住用建築物が立ち並んでいます。

この見事な公園を造ったのは、19世紀初頭イギリスに留学し、英国庭園の美に感銘を受けたヘルマン・ピュックラー=ムスカウ侯爵です。自らも作庭家であったムスカウ侯爵は、自らの領地に自然美を生かした風景式庭園を造ることにしました。

起伏に富んだ土地をうまく利用したデザイン、川から水を引き人工の支流を掘って水を流すという独創的アイデアなどを駆使し、まるで風景画を眺めているような景観が創り上げられました。公園内には草花や木を生かした庭園に囲まれるようにして、宮殿など住居用の建築物群があります。

造園工事は1815〜45年の30年にわたって続きましたが、やがて資金難からムスカウ侯爵は庭園を手放さざるを得なくなりました。その後庭園は様々な人の手に渡ることになりましたが、歴代の所有者たちは庭園をとても大切にし、当初の設計を変えることなく、保全作業を行いながら庭園を守り続けました。

第二次世界大戦後、新たな国境線の制定によってこの公園は二カ国に分断されてしまいましたが、1980年代からはポーランドとドイツの間で再評価プログラムの対象となりました。文化・景観の保護と保存のために二つの国家が協力するのはヨーロッパでは初めてのことでした。ユネスコの世界遺産への申請も、ポーランドとドイツの政府が共同で行ったものです。

【データ】
▼公式ホームページ(英・独語)=http://www.muskauer-park.de
▼アクセス:列車&バス=ジェロナ・グーラ、ヴロツワフなどから列車でジャルィへ。その後バスに乗り換えウェンクニツァで下車。
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by goeurope | 2009-05-07 15:31 | ポーランド